子々孫々まで確実に呪う方法にゾッとする「長い腕」川崎草志

こんにちは、風子です。

 

第21回(2001年) 横溝正史ミステリ大賞を受賞した、川崎草志さんの「長い腕」を読みました。

 

  目次

 

「長い腕」あらすじ

長い腕 (角川文庫)

長い腕 (角川文庫)

 

平成13年(2001年)発行

ゲーム会社勤務の島汐路(しましおじ)が退職を控えていたある日、同僚女性2人が会社の屋上から飛び降りる心中事件を目撃します。

 

時を同じくして、電車内での突然の刺殺事件や、空港でたくさんの人がパニックを起こし30人以上が死亡する事件など、日本中で不可解な事件が発生。

 

汐路のふるさとである早瀬でも、中学生の女子生徒がクラスメイトを猟銃で射殺するというショキングな事件がおきていました。

 

同僚の心中事件と地元中学生の事件に奇妙な共通点を見つけた汐路は、事件を調べるため、地元早瀬に帰ることに。

 

これらの事件はつながっているのか。いったいなぜ。誰が。どうやって。

 

「長い腕」感想

ゲーム会社の内情がリアル

作者の川崎草志さんは、もともとセガ・エンタープライゼスで働いており、この本の発行時もゲーム制作会社勤務ということです。

 

そういうわけで、主人公の汐路の勤務先であるゲーム会社の内情がとても細かく描かれています。

 

ゲームがどのように作られているのか、激務の状況などがリアルでとても興味深かったです。

 

発行が20年近く前なので、現在のゲーム会社の勤務状況がどうなっているかはわかりません。

でも働き方改革が浸透しづらい業種に思えるので、今だ激務が続いている気がします。

 

そこでひとつ思い出したことがありました。

 

私の友人女性が、数年前、デザイン系の建築事務所の転職面接で言われたことです。

 

最初の半年は試用期間ということで、安いアパートすら借りれないくらいの安い給料を明示され、友人は、他のみなさんはどこに住んでいるのかを聞いたそうです。

 

寮でもあるのかな、と思ったんですね。

 

でもそれに対する答えは、

「どうせ帰れないから、住むところは考えなくていいから。ていうか家に帰れる時間があるとでも思ってるの」

 

こわ。

 

ある程度の覚悟をもって面接にのぞんでいた彼女ですが、すっかりおびえて帰ってきました。

 

数年前の話なので、現在この会社がどうなっているかはわかりませんが、働き方改革の声、聞こえているかな。

 

キャラクターがいい

島汐路

主人公である汐路は、やや気の強い女性ですが、そんなことよりなによりも、彼女の持ち物の少なさに衝撃を受けます。

 

今でいうミニマリストです。

しかも超がつくほどの。

 

引越しの荷物はダンボール5個。

普段からキャンプ用コットに寝袋で寝ています。

 

カプチーノという2人乗りのコンパクトなスポーツカーを愛用していますが、購入時に、助手席のシートを捨ててしまっているといういさぎよさ。

 

ほ、惚れる・・・。

 

今でこそミニマリストは知名度も高く、すっかり市民権を得ているワケですが、この本が出版されたのは18年前です。

 

ミニマリストとか断捨離とかいう言葉が世に広まるはるか前から、こういう人って存在していたんですね。

 

物を減らしたい人は、一見の価値ありです。

 

石丸圭一

汐路の上司である石丸は、誰に対しても丁寧な口調を崩さない、穏やかな人柄です。

仕事もできて、優しくて、汐路のピンチには駆けつけてくれます。

 

なにこの人。かっこいい。

 

でもいつも丁寧な彼にも闇があります。

 

石丸の闇に関してはあまり語られることなく終わってしまうのですが、この「長い腕」は3部作になっているようなので、次作の「呪い唄」で出てくるのかな?

 

早く次が読みたい・・・。

 

建築家が子々孫々まで呪う恨みの深さ

ネタバレになってしまうのであまり書きませんが、建築家、というか本作では大工ですが、その天才的な技術を使って、子々孫々まで呪う方法がでてきます。

 

この方法には背筋が寒くなりました。

 

その呪いをかけた人は、本当に末代に至るまで呪いが届いたのかわからないのです。

それでも大掛かりに、誰にも気づかれない方法で、ジワジワと、子々孫々まで呪うという恨みの深さにゾッとしました。

 

こんな方法、実際にあったりするんでしょうか。

あるとしたら、本当に怖いです。

 

おわりに

私はどうも、家とか古民家とか、建物が関わっている話に弱いです。

 

建物がらみということで、小野不由美さんの「残穢(ざんえ)」を思い出しました。

たしか集合住宅の部屋とか、家とか宅地の話だったと思います。

あれは眠れなくなる怖さだったな〜。

 

あと汐路のキャンプ用コットが欲しくなりました(笑)

 

早く次の「呪い唄」を読みたいです。

 

今日のねこ

ふふーん

この角度好き

眠そうだね。

眠くない・・・

ねむ・・くな・・い・・・